上縦隔に発生した肺葉外肺分画症の1例

症例は18歳,女性.大学の健診で胸部異常陰影を指摘され受診した.胸部CTで気管右側に4.0×2.1×1.9 cmの多房性腫瘤を認め上縦隔腫瘍の診断で胸腔鏡下に摘出術を施行した.腫瘤は被膜に包まれ,囊胞性部分と虚脱した肺様の充実性部分からなり,頭側に径1 mm程度の索状物を認めた.病理所見では,囊胞壁は多列線毛上皮で覆われ,周囲に平滑筋や気管支腺,軟骨組織を認め,一部に虚脱した肺胞様の構造を認めた.流入血管は増生と壁肥厚を認め,体動脈供給を受けていたと考えられたが,還流静脈の部位ははっきりしなかった.しかし,臓側胸膜と考えられる膜に被包されており,病理学的に肺葉外肺分画症と診断した.上縦隔に発生...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 7; pp. 893 - 898
Main Authors 木村, 尚子, 有本, 斉仁, 森田, 敬知, 杉田, 裕介, 宮内, 善広, 國光, 多望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.893

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Summary:症例は18歳,女性.大学の健診で胸部異常陰影を指摘され受診した.胸部CTで気管右側に4.0×2.1×1.9 cmの多房性腫瘤を認め上縦隔腫瘍の診断で胸腔鏡下に摘出術を施行した.腫瘤は被膜に包まれ,囊胞性部分と虚脱した肺様の充実性部分からなり,頭側に径1 mm程度の索状物を認めた.病理所見では,囊胞壁は多列線毛上皮で覆われ,周囲に平滑筋や気管支腺,軟骨組織を認め,一部に虚脱した肺胞様の構造を認めた.流入血管は増生と壁肥厚を認め,体動脈供給を受けていたと考えられたが,還流静脈の部位ははっきりしなかった.しかし,臓側胸膜と考えられる膜に被包されており,病理学的に肺葉外肺分画症と診断した.上縦隔に発生する肺葉外肺分画症は稀で,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.893