肺癌に対して左上葉切除施行後の遺残腔に発生したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1例

肺癌に対する切除手術後に発症したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を経験したので報告する.症例は71歳,男性.19年前に左肺腺癌に対して,術前放射線治療後に左肺上葉切除及び胸壁合併切除を受けている.術後放射線治療を追加し,その後,再発は認めていなかったが,1ヵ月前より左前胸部の腫脹を自覚し再受診となった.胸部CTで第3肋骨の破壊像を伴う左前胸部軟部腫瘤を認めた.2回の経皮的生検でも確定診断には至らず,切除手術を行った.胸壁と腫瘍は一体となっており,第3-5肋骨を含む胸壁とともに腫瘍を切除した.病理検査ではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断であり,左上葉切除後の遺残腔に接する胸壁から発生しているこ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 475 - 481
Main Authors 坂口, 泰人, 千葉, 直久, 齊藤, 正男, 石川, 真也, 中川, 達雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2018
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Summary:肺癌に対する切除手術後に発症したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を経験したので報告する.症例は71歳,男性.19年前に左肺腺癌に対して,術前放射線治療後に左肺上葉切除及び胸壁合併切除を受けている.術後放射線治療を追加し,その後,再発は認めていなかったが,1ヵ月前より左前胸部の腫脹を自覚し再受診となった.胸部CTで第3肋骨の破壊像を伴う左前胸部軟部腫瘤を認めた.2回の経皮的生検でも確定診断には至らず,切除手術を行った.胸壁と腫瘍は一体となっており,第3-5肋骨を含む胸壁とともに腫瘍を切除した.病理検査ではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断であり,左上葉切除後の遺残腔に接する胸壁から発生していることから膿胸関連リンパ腫(pyothorax-associated lymphoma)の類縁疾患であると考えられた.術後R-CHOP療法を6コース施行し,他病死までの3年間の寛解状態を維持した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.475