充実成分のないすりガラス型陰影を呈したが縦隔リンパ節転移を認めた肺原発腸型印環細胞癌の一例

【症例】68歳女性.約30年前に胃潰瘍の手術歴あり.中咽頭癌と喉頭癌に対する放射線治療後に胸部CTにて左肺S6に20 mm大の結節と同S3に充実成分のないすりガラス型陰影を指摘され当科紹介受診.FDG-PETによる全身検索では左肺結節以外に異常集積はなかった.S6結節の切除生検で腺癌と診断されたため,一期的に左肺下葉およびS3楔状切除術,縦隔リンパ節郭清を施行.術後永久標本にて左肺S3病変は印環細胞の特徴をもつTTF-1陰性の腸型腺癌,S6病変はTTF-1陽性の肺腺癌と診断した.#5リンパ節に腸型腺癌の転移を認めたためTS-1+CBDCAによる術後化学療法を導入したが2コース目に嘔気のため中止...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 2; pp. 194 - 199
Main Authors 山本, 亜弥, 岩田, 隆, 原, 幹太朗, 松本, 学, 西山, 典利, 宮本, 光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.194

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Summary:【症例】68歳女性.約30年前に胃潰瘍の手術歴あり.中咽頭癌と喉頭癌に対する放射線治療後に胸部CTにて左肺S6に20 mm大の結節と同S3に充実成分のないすりガラス型陰影を指摘され当科紹介受診.FDG-PETによる全身検索では左肺結節以外に異常集積はなかった.S6結節の切除生検で腺癌と診断されたため,一期的に左肺下葉およびS3楔状切除術,縦隔リンパ節郭清を施行.術後永久標本にて左肺S3病変は印環細胞の特徴をもつTTF-1陰性の腸型腺癌,S6病変はTTF-1陽性の肺腺癌と診断した.#5リンパ節に腸型腺癌の転移を認めたためTS-1+CBDCAによる術後化学療法を導入したが2コース目に嘔気のため中止.術23ヵ月後に多発骨転移,27ヵ月後に原病死した.【結語】画像上完全なすりガラス型陰影であっても縦隔リンパ節転移陽性で悪性度の高い肺癌が存在する可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.194