早期肺癌との鑑別が困難であった中葉限局型肺胞蛋白症の1例

肺胞蛋白症は,サーファクタントの生成または分解過程障害により肺胞腔内にサーファクタント由来物質である好酸性顆粒状蛋白様物質が異常貯留をきたす疾患である.画像的には肺門部から末梢へかけて両側性・びまん性にcrazy-paving patternを呈するが,今回限局型の肺胞蛋白症を経験した.症例は59歳男性で,CT検診で右肺中葉にすりガラス影を指摘された.5年前のCT検診でも陰影は指摘されており,増大傾向を認め当科紹介となった.右肺中葉胸膜直下に13 mm大の一部濃度上昇を伴う増大傾向のあるすりガラス影を認めた.また中葉肺門近くに10 mm程度のすりガラス影を認めた.肺癌疑いとして胸腔鏡下右肺中葉...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 143 - 147
Main Authors 岡本, 卓, 中野, 貴之, 喜田, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.143

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Summary:肺胞蛋白症は,サーファクタントの生成または分解過程障害により肺胞腔内にサーファクタント由来物質である好酸性顆粒状蛋白様物質が異常貯留をきたす疾患である.画像的には肺門部から末梢へかけて両側性・びまん性にcrazy-paving patternを呈するが,今回限局型の肺胞蛋白症を経験した.症例は59歳男性で,CT検診で右肺中葉にすりガラス影を指摘された.5年前のCT検診でも陰影は指摘されており,増大傾向を認め当科紹介となった.右肺中葉胸膜直下に13 mm大の一部濃度上昇を伴う増大傾向のあるすりガラス影を認めた.また中葉肺門近くに10 mm程度のすりガラス影を認めた.肺癌疑いとして胸腔鏡下右肺中葉切除術を行い,肺胞蛋白症と診断した.本症例のように中葉限局性に,また胸膜直下に発生した肺胞蛋白症はまれなため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.143