上大区支,舌区支の二連銃型気管支再建により上葉を温存した左肺下葉腺癌の1例

【症例】60歳代女性.検診の胸部レントゲンで異常陰影を指摘され,精査にて左肺下葉S8原発の腺癌(c-T2aN1M0)と診断され手術目的に当科紹介となった.術中所見で転移のある葉間リンパ節が上大区支と舌区支の分岐部近傍の気管支壁まで節外浸潤しており剥離不能であった.上大区と舌区の気管支分岐部まで切除すれば肉眼的完全切除可能と判断し,左肺管状下葉切除とした.再建は,まず離断されたそれぞれの区域気管支を,切離端同士を寄せるように約1/3周にわたり縫合した.次に頭尾側に大きく展開するように口径差を調整し,二連銃型気管支形成を施行し上葉を温存した.【考察】末梢の気道再建では,中枢と比較して再建気管支径が...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 5; pp. 657 - 661
Main Authors 宮内, 善広, 松岡, 弘泰, 大貫, 雄一郎, 椙村, 彩, 松原, 寛知, 国光, 多望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.657

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Summary:【症例】60歳代女性.検診の胸部レントゲンで異常陰影を指摘され,精査にて左肺下葉S8原発の腺癌(c-T2aN1M0)と診断され手術目的に当科紹介となった.術中所見で転移のある葉間リンパ節が上大区支と舌区支の分岐部近傍の気管支壁まで節外浸潤しており剥離不能であった.上大区と舌区の気管支分岐部まで切除すれば肉眼的完全切除可能と判断し,左肺管状下葉切除とした.再建は,まず離断されたそれぞれの区域気管支を,切離端同士を寄せるように約1/3周にわたり縫合した.次に頭尾側に大きく展開するように口径差を調整し,二連銃型気管支形成を施行し上葉を温存した.【考察】末梢の気道再建では,中枢と比較して再建気管支径が細い.そのため急性期/遠隔期の気道狭窄を防止するため,温存肺に向かう肺動脈血流の確実な確認と急性期に喀痰喀出を困難とする可能性のある気道内結紮を避けることが重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.657