抗リン脂質抗体症候群を合併した急性 A 型大動脈解離の1例

抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid syndrome : APLS)は,リン脂質に対する自己抗体を有し,動脈系および静脈系に血栓症を起こし,習慣性流産,血小板減少を主徴とする症候群である.心臓弁膜病変を合併することが多い反面,大動脈病変の合併は非常に稀である.症例は44歳女性.全身性エリテマトーデスおよびAPLSに対し,近医でステロイドおよび免疫抑制剤,ワーファリンが投与されていた.背部痛を主訴に搬送され,造影CTにて急性A型大動脈解離と診断し,緊急上行大動脈人工血管置換術を施行した.周術期において血栓塞栓症のリスクの増大,ステロイドや免疫抑制剤による易感染性が問題となっ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 265 - 268
Main Authors 田口, 隆浩, 前場, 覚, 渡邊, 慶太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2010
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Summary:抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid syndrome : APLS)は,リン脂質に対する自己抗体を有し,動脈系および静脈系に血栓症を起こし,習慣性流産,血小板減少を主徴とする症候群である.心臓弁膜病変を合併することが多い反面,大動脈病変の合併は非常に稀である.症例は44歳女性.全身性エリテマトーデスおよびAPLSに対し,近医でステロイドおよび免疫抑制剤,ワーファリンが投与されていた.背部痛を主訴に搬送され,造影CTにて急性A型大動脈解離と診断し,緊急上行大動脈人工血管置換術を施行した.周術期において血栓塞栓症のリスクの増大,ステロイドや免疫抑制剤による易感染性が問題となった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.39.265