4-Ethoxy-2-metyl-5-morpholino-3(2H)-pyridazinone(M73101)のビーグル犬における慢性毒性試験およびその回復試験

雌雄のビーグル犬を用いてM73101の経口投与による6カ間の慢性毒性試験を実施した。M73101の投与量は1日量として60, 120および240mg/kgとし, さらに対照群を設けた。1群は雌雄各3匹とし, そのうち各1匹を1カ月間の回復試験に供した。対照群との比較によって, 以下の結果を得た。1) M73101の6カ月間投与およびその1ヵ月間の回復試験において, 死亡例は1例も認められなかった。2) 体重ほ雄の240mg/kg群でわずかな増加抑制傾向がみられたが, 1カ月間の休薬後には回復した。3) M73101の投与後における嘔吐の頬度が高投与群で多くみられる傾向があった。4) 血清生化学...

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Published inThe Journal of Toxicological Sciences Vol. 4; no. 3; pp. 229 - 253
Main Authors 小野寺, 千秋, 林, 俊文, 牧田, 市郎, 橋, 高志, 武田, 京一, 小瀬木, 総子, 島津, 肇
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本毒性学会 1979
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Summary:雌雄のビーグル犬を用いてM73101の経口投与による6カ間の慢性毒性試験を実施した。M73101の投与量は1日量として60, 120および240mg/kgとし, さらに対照群を設けた。1群は雌雄各3匹とし, そのうち各1匹を1カ月間の回復試験に供した。対照群との比較によって, 以下の結果を得た。1) M73101の6カ月間投与およびその1ヵ月間の回復試験において, 死亡例は1例も認められなかった。2) 体重ほ雄の240mg/kg群でわずかな増加抑制傾向がみられたが, 1カ月間の休薬後には回復した。3) M73101の投与後における嘔吐の頬度が高投与群で多くみられる傾向があった。4) 血清生化学的検査でM73101の投与期間中に雌雄の240mg/kg群でアルカリ性ホスファターゼ値および遊離コレステロール値が上昇する傾向がみられた。しかし1カ月間の休薬後には回復した。5) M73101の投与により肝重量が投与量に依存して増加する傾向がみられた。6) 剖検でほ雌の240mg/kg群の1例に胃(噴門部)におけるびらん(Ul-I)が認められた。7) 組織検査ではM73101の投与量に依存した肝細胞の腫脹が認められた。電子顕微鏡による検査ではM73101の投与群に滑面小胞体の増加, 糸粒体の大型化とその基質内に細線維状結晶構造が認められた。8) 肝の薬物代謝酵素であるチトクロームP-450, b5, アニリン・ハイドロキシラーゼおよびアミノピリン-N-デメチラーゼ活性値が雌雄の240 mg/kg群で著明に上昇した。これらの変化は1カ月間の休薬により回復もしくはその傾向を示した。9) M73101のビーグル犬における最大無作用量は60mg/kg/dayあるいはそれ以下と推察され, また最大安全量は240mg/kg/day未満から120mg/kg/dayの間と考えられた。
ISSN:0388-1350
1880-3989
DOI:10.2131/jts.4.229