高度進行胃癌に対する胃空腸吻合術の検討

目的 : 幽門狭窄を伴う高度進行胃癌に対する胃空腸吻合術の意義について検討した. 対象と方法 : 1993年3月から2005年12月までに高度進行胃癌に対して胃空腸吻合術を行った38例を対象とし, 臨床的背景が術後経口摂取期間, 生存期間に及ぼす影響について検討した. 結果 : 35例 (92.1%) で術後経口摂取可能となり, 術後経口摂取期間の中央値は7.0カ月, 50%生存期間は7.3カ月, 30例 (78.9%) で在宅に移行できた. 統計学的解析では術前貧血が術後経口摂取期間と相関する因子として, また, 術前貧血と術前急性期併存症が生存期間規定因子として抽出された. 結語 : 緩和...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 5; pp. 1064 - 1069
Main Authors 高嶋, 成光, 大田, 耕司, 棚田, 稔, 大谷, 真二, 久保, 義郎, 栗田, 啓, 野崎, 功雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.1064

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Summary:目的 : 幽門狭窄を伴う高度進行胃癌に対する胃空腸吻合術の意義について検討した. 対象と方法 : 1993年3月から2005年12月までに高度進行胃癌に対して胃空腸吻合術を行った38例を対象とし, 臨床的背景が術後経口摂取期間, 生存期間に及ぼす影響について検討した. 結果 : 35例 (92.1%) で術後経口摂取可能となり, 術後経口摂取期間の中央値は7.0カ月, 50%生存期間は7.3カ月, 30例 (78.9%) で在宅に移行できた. 統計学的解析では術前貧血が術後経口摂取期間と相関する因子として, また, 術前貧血と術前急性期併存症が生存期間規定因子として抽出された. 結語 : 緩和手術としての胃空腸吻合術は幽門狭窄を有する高度進行胃癌患者のquality of life向上に有意義であると考えられた. ただし, 術前に貧血や急性期併存症を有する症例では十分な効果が期待できなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.1064