直腸未分化癌の1例

症例は73歳,女性.便通異常,粘液便,腰痛を主訴に近医を受診した.注腸検査にて直腸S状部・上部直腸RSRaに約7.5cm長の隆起性病変を認め,精査加療目的で当科に紹介となった.大腸内視鏡検査で約1/2周を占める腫瘍を認め,生検にて未分化癌と診断された.腹部CT検査では仙骨側への浸潤が疑われた.手術は低位前方切除術(D2)を行った.摘出標本では腫瘍は壁外への進展が著明であった.病理組織学的検査所見では腫瘍は未分化癌で内分泌細胞への分化は認めなかった.腫瘍は限局しており壁外への進展が顕著であったが仙骨前面の切離面には癌細胞の浸潤を認めなかった.術後6カ月の腹部CT,超音波検査にて著明な傍大動脈~総...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1164 - 1169
Main Authors 開野, 友佳理, 安藤, 道夫, 井川, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は73歳,女性.便通異常,粘液便,腰痛を主訴に近医を受診した.注腸検査にて直腸S状部・上部直腸RSRaに約7.5cm長の隆起性病変を認め,精査加療目的で当科に紹介となった.大腸内視鏡検査で約1/2周を占める腫瘍を認め,生検にて未分化癌と診断された.腹部CT検査では仙骨側への浸潤が疑われた.手術は低位前方切除術(D2)を行った.摘出標本では腫瘍は壁外への進展が著明であった.病理組織学的検査所見では腫瘍は未分化癌で内分泌細胞への分化は認めなかった.腫瘍は限局しており壁外への進展が顕著であったが仙骨前面の切離面には癌細胞の浸潤を認めなかった.術後6カ月の腹部CT,超音波検査にて著明な傍大動脈~総腸骨動脈リンパ節腫大を認め,現在Bevacizumab+FOLFOX4療法中である. 大腸未分化癌は他の分化型腺癌に比べ悪性度が高く予後不良であるとされている.術後早期の再発の可能性が高いため有効な集学的治療法の検討が必要であると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1164