先天性心膜欠損症の閉鎖を行った左自然気胸の1例

症例は56歳,男性で,両側異時性自然気胸の手術歴があった.軽度の左肩痛と呼吸困難を主訴に受診し,胸部X線写真で,軽度の肺虚脱と心囊気腫の所見が認められた.胸部CTで左上葉に多発する肺囊胞が見られ,胸腔以外にも心囊内に空気の層が認められた.先天性心膜欠損症が併存した自然気胸の術後再発と診断した.仮に肺切除後に遷延性肺瘻や膿胸が併発した場合には治療が困難に至ると判断し,心膜欠損孔の閉鎖を併施する方針で手術を行った.肺動脈基部腹側に3×2 cmの心膜欠損孔を認め,有茎心膜脂肪で閉鎖した.術後合併症は生じなかった.無症状の先天性心膜欠損症に対し,一般的には外科的処置は必ずしも必要としない.本邦における...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 107 - 113
Main Authors 植松, 秀護, 新谷, 裕美子, 南方, 孝夫, 氷室, 直哉, 遠藤, 哲哉, 武井, 秀史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2021
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Summary:症例は56歳,男性で,両側異時性自然気胸の手術歴があった.軽度の左肩痛と呼吸困難を主訴に受診し,胸部X線写真で,軽度の肺虚脱と心囊気腫の所見が認められた.胸部CTで左上葉に多発する肺囊胞が見られ,胸腔以外にも心囊内に空気の層が認められた.先天性心膜欠損症が併存した自然気胸の術後再発と診断した.仮に肺切除後に遷延性肺瘻や膿胸が併発した場合には治療が困難に至ると判断し,心膜欠損孔の閉鎖を併施する方針で手術を行った.肺動脈基部腹側に3×2 cmの心膜欠損孔を認め,有茎心膜脂肪で閉鎖した.術後合併症は生じなかった.無症状の先天性心膜欠損症に対し,一般的には外科的処置は必ずしも必要としない.本邦における先天性心膜欠損症を伴った自然気胸手術症例をまとめ報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.107