麻酔科関連領域において説明義務違反が問われた判例について

説明義務に関する最近の判例を検討した. 説明義務違反が理由で敗訴となった判例が増加していた. 1. 説明していない術式に変更する場合, 本人の意思を確認しなければならない. 2. 一般的な治療方法でなくても, 相当程度実施されている治療法であれば, 説明しなければならない. 3. 美容整形の場合はより厳密な説明が要求されている. 4. 一般的な手術に関する説明のみでなく, その患者に対する個別的な説明が要求されている. 5. 一定の条件下では, 生命に対する価値観より患者の宗教的信条などの自己決定権が優先されると, 最高裁で明確にされた. 従来は合理的医師基準説がとられていたが, 具体的患者基...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 26; no. 7; pp. 742 - 749
Main Authors 木内, 淳子, 松村, 陽子, 客野, 宮治, 野坂, 修一, 前田, 正一, 江原, 一雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2006
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Summary:説明義務に関する最近の判例を検討した. 説明義務違反が理由で敗訴となった判例が増加していた. 1. 説明していない術式に変更する場合, 本人の意思を確認しなければならない. 2. 一般的な治療方法でなくても, 相当程度実施されている治療法であれば, 説明しなければならない. 3. 美容整形の場合はより厳密な説明が要求されている. 4. 一般的な手術に関する説明のみでなく, その患者に対する個別的な説明が要求されている. 5. 一定の条件下では, 生命に対する価値観より患者の宗教的信条などの自己決定権が優先されると, 最高裁で明確にされた. 従来は合理的医師基準説がとられていたが, 具体的患者基準説をとったいくつかの判例がみられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.26.742