要介護高齢者の聴覚評価 介護職員の難聴認識と介入前の対応
要旨: 要介護高齢者の難聴に対する適切な介入方法を検討するための基礎資料を得ることを目指し, 介護職員に難聴認識と日常の対応について問う質問紙調査を行った。対象は介護老人保健施設 (1施設) に入所中の要介護高齢者87例 (男性38例, 女性49例, 平均年齢83.5±8.0歳) である。良聴耳の平均聴力レベルにより, 正常, 軽度 (25dB 以上), 軽中等度 (40dB 以上), 中等度 (50dB 以上), 高度 (70dB 以上), 閾値 (左右別閾値が得られない) に分類し, 回答と聴力との関係を分析した。その結果, 聴力レベルにより介護職員が認識する行動特性に違いがあり, 静かな...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 59; no. 2; pp. 132 - 140 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.04.2016
日本聴覚医学会 |
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Summary: | 要旨: 要介護高齢者の難聴に対する適切な介入方法を検討するための基礎資料を得ることを目指し, 介護職員に難聴認識と日常の対応について問う質問紙調査を行った。対象は介護老人保健施設 (1施設) に入所中の要介護高齢者87例 (男性38例, 女性49例, 平均年齢83.5±8.0歳) である。良聴耳の平均聴力レベルにより, 正常, 軽度 (25dB 以上), 軽中等度 (40dB 以上), 中等度 (50dB 以上), 高度 (70dB 以上), 閾値 (左右別閾値が得られない) に分類し, 回答と聴力との関係を分析した。その結果, 聴力レベルにより介護職員が認識する行動特性に違いがあり, 静かな場での聞き返しや聞こえにくさの訴えが40dB 以上で認識される率が高かった。ことばかけの配慮が聴力レベルで異なることも示された。しかし, 難聴認識とそれに応じた適切な対応が十分とはいえない現状も推察され, 介護職員と連携して難聴に対する認識を共有しながら, 聴覚評価と聴覚補償にあたる重要性が示唆された。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.59.132 |