鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影にて治癒した肺癌術後乳糜胸の一例

症例は61歳男性.肺炎後の残存する2ヵ所の結節を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.右上葉肺癌および右下葉の結節に対し胸腔鏡下右上葉切除術+ND2a-1,右下葉部分切除を施行した.術後第1病日に1000 ml以上のドレーン排液を認め乳糜胸と診断した.絶食,中心静脈栄養,オクトレオチド投与を行ったが改善せず,術後第10病日に鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影を施行したところ排液は減少し治癒した.術後乳糜胸は比較的稀な合併症であり多くは保存的治療で治癒する.保存的治療で治癒しない場合は,胸管結紮術を施行することが多いが,本症例は,低肺機能のため術後に呼吸不全を生じており,全身麻酔を避け低侵襲,比較...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 525 - 531
Main Authors 内山, 美佳, 川角, 佑太, 市川, 靖久, 上野, 陽史, 福本, 紘一, 森, 正一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.525

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Summary:症例は61歳男性.肺炎後の残存する2ヵ所の結節を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.右上葉肺癌および右下葉の結節に対し胸腔鏡下右上葉切除術+ND2a-1,右下葉部分切除を施行した.術後第1病日に1000 ml以上のドレーン排液を認め乳糜胸と診断した.絶食,中心静脈栄養,オクトレオチド投与を行ったが改善せず,術後第10病日に鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影を施行したところ排液は減少し治癒した.術後乳糜胸は比較的稀な合併症であり多くは保存的治療で治癒する.保存的治療で治癒しない場合は,胸管結紮術を施行することが多いが,本症例は,低肺機能のため術後に呼吸不全を生じており,全身麻酔を避け低侵襲,比較的簡便な鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影にて乳糜胸が治癒したことは有用であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.525