喀血で発症し,アスペルギルス症との鑑別が困難であった肺放線菌症の1切除例

症例は50歳の女性.既往歴として2型糖尿病を有していた.繰り返す喀血を主訴に近医より当科紹介となった.血液検査では炎症反応高値でアスペルギルス抗原が陽性.CTでは空洞を伴う腫瘤を認めた.慢性壊死性肺アスペルギルス症を疑って抗真菌薬を投与するも喀血が改善せず,手術を施行した.摘出標本の病理学的検索にて肺放線菌症と診断した.アスペルギルス菌体は認めなかった.術後は1年間ペニシリン剤の投与を続けた.術後4年を経過した現在,再燃なく経過している.肺放線菌症は比較的稀な疾患であり,肺癌,肺結核,肺真菌症との鑑別が困難な場合が多い.本例のように喀血を初発症状とする症例もあり,喀血を伴う肺の腫瘤状陰影を認め...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 187 - 192
Main Authors 樋口, 光徳, 鈴木, 弘行, 山浦, 匠, 武藤, 哲史, 星野, 実加, 大杉, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.187

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Summary:症例は50歳の女性.既往歴として2型糖尿病を有していた.繰り返す喀血を主訴に近医より当科紹介となった.血液検査では炎症反応高値でアスペルギルス抗原が陽性.CTでは空洞を伴う腫瘤を認めた.慢性壊死性肺アスペルギルス症を疑って抗真菌薬を投与するも喀血が改善せず,手術を施行した.摘出標本の病理学的検索にて肺放線菌症と診断した.アスペルギルス菌体は認めなかった.術後は1年間ペニシリン剤の投与を続けた.術後4年を経過した現在,再燃なく経過している.肺放線菌症は比較的稀な疾患であり,肺癌,肺結核,肺真菌症との鑑別が困難な場合が多い.本例のように喀血を初発症状とする症例もあり,喀血を伴う肺の腫瘤状陰影を認める場合は,本症も念頭に置き,可及的早期に診断的治療を開始すべきであると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.187