経過中に病変の増大と縮小を認めた粘液産生性肺腺癌の1切除例

経過中に病変の増大と縮小を認めた粘液産生性肺腺癌の1切除例を経験したのでここに報告する.胸部CTで右肺上葉に結節影を指摘され,気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らず経過観察されていた.1ヵ月後,咳嗽が出現し,結節影の急激な増大と炎症反応の増悪を認め,肺炎の診断で入院した.Tazobactam/Piperacillin Hydrate(TAZ/PIPC)にて病巣の縮小と炎症反応の改善を認めたものの,結節影は完全には消失せず,手術にて粘液産生型の肺腺癌と診断された.抗菌薬投与により病変の縮小を認める場合でも,病変が遺残するときは肺癌が併存している可能性がある.最適な治療時期を逸しないように,十分...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 260 - 264
Main Authors 岩井, 俊, 船﨑, 愛可, 関村, 敦, 浦本, 秀隆, 薄田, 勝男, 本野, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.260

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Summary:経過中に病変の増大と縮小を認めた粘液産生性肺腺癌の1切除例を経験したのでここに報告する.胸部CTで右肺上葉に結節影を指摘され,気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らず経過観察されていた.1ヵ月後,咳嗽が出現し,結節影の急激な増大と炎症反応の増悪を認め,肺炎の診断で入院した.Tazobactam/Piperacillin Hydrate(TAZ/PIPC)にて病巣の縮小と炎症反応の改善を認めたものの,結節影は完全には消失せず,手術にて粘液産生型の肺腺癌と診断された.抗菌薬投与により病変の縮小を認める場合でも,病変が遺残するときは肺癌が併存している可能性がある.最適な治療時期を逸しないように,十分な検討と慎重な経過観察が必要と考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.260