術後3年以上無再発生存中の十二指腸乳頭部原発腺内分泌細胞癌の1例
無再発生存中の十二指腸乳頭部原発腺内分泌細胞癌の1例を報告する.症例は46歳の女性で,上腹部痛を主訴に入院した.十二指腸乳頭部に露出腫瘤型の腫瘍を認め,同部の生検で神経内分泌腫瘍と診断された.一方,擦過細胞診は腺癌の診断であった.十二指腸乳頭部癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腺内分泌細胞癌と診断された.術後補助化学療法としてS-1内服を行い,術後39カ月経過した現在,再発所見なく経過中である.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌は稀であり,本邦報告例は自験例を含め14例であった.本疾患は悪性度が高く,予後は極めて不良であるが,本症例は無再発生存中である....
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 5; pp. 1132 - 1136 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.1132 |
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Summary: | 無再発生存中の十二指腸乳頭部原発腺内分泌細胞癌の1例を報告する.症例は46歳の女性で,上腹部痛を主訴に入院した.十二指腸乳頭部に露出腫瘤型の腫瘍を認め,同部の生検で神経内分泌腫瘍と診断された.一方,擦過細胞診は腺癌の診断であった.十二指腸乳頭部癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腺内分泌細胞癌と診断された.術後補助化学療法としてS-1内服を行い,術後39カ月経過した現在,再発所見なく経過中である.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌は稀であり,本邦報告例は自験例を含め14例であった.本疾患は悪性度が高く,予後は極めて不良であるが,本症例は無再発生存中である.本疾患の治療について確立されたものはないが,外科的治療と術後補助化学療法が有効であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.1132 |