Candida intermedia 4-6-4T2株によるエタノール発酵のための廃パルプ前処理条件検討
未晒廃パルプを原料に用いたエタノール発酵用糖化液の調製のため,Candida intermedia 4-6-4T2による発酵試験を実施し,水蒸気爆砕条件を評価した。温和(Severity factor (Ro)=3.53),または中程度(Ro=4.12)の水蒸気爆砕条件では,LC-MSあるいはHPLCによる分析の結果,糖化液中の既知の阻害物質(有機酸,フラン化合物,リグニン由来の芳香族化合物)の濃度は低く,C. intermedia 4-6-4T2を用いた発酵試験では,糖化液中のキシロースおよびグルコースは24時間以内に消費され,エタノールに変換された。温和な爆砕条件で調製した糖化液を発酵した...
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Published in | Journal of the Japan Petroleum Institute Vol. 61; no. 3; pp. 191 - 198 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
Tokyo
公益社団法人 石油学会
01.05.2018
Japan Science and Technology Agency |
Subjects | |
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ISSN | 1346-8804 1349-273X |
DOI | 10.1627/jpi.61.191 |
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Summary: | 未晒廃パルプを原料に用いたエタノール発酵用糖化液の調製のため,Candida intermedia 4-6-4T2による発酵試験を実施し,水蒸気爆砕条件を評価した。温和(Severity factor (Ro)=3.53),または中程度(Ro=4.12)の水蒸気爆砕条件では,LC-MSあるいはHPLCによる分析の結果,糖化液中の既知の阻害物質(有機酸,フラン化合物,リグニン由来の芳香族化合物)の濃度は低く,C. intermedia 4-6-4T2を用いた発酵試験では,糖化液中のキシロースおよびグルコースは24時間以内に消費され,エタノールに変換された。温和な爆砕条件で調製した糖化液を発酵した場合のエタノール収率は0.40(g/g),また中程度の爆砕条件で調製した糖化液を発酵した場合のエタノール収率は0.41(g/g)であった。一方,厳しい水蒸気爆砕条件(Ro=4.71)では,LC-MS分析により13種類のリグニン由来の芳香族化合物が同定され,11種類の化合物についてはHPLC分析による定量が可能であった。定量の結果,フラン化合物の濃度は0.2 g/L 以下,またリグニン由来の芳香族化合物の濃度は0.02 g/L以下であった。この糖化液での発酵試験では,24時間経過した時点でのエタノール収率は0.21(g/g)と低く,発酵時間を48時間まで延長してもキシロースはほとんど消費されず,またグルコースも完全に消費されることはなかった。発酵阻害物質の影響を検証するために,3 g/Lの酢酸を含む0.1 Mリン酸緩衝液に糖化液で定量された以上の濃度のフラン化合物,リグニン由来の芳香族化合物を添加したモデル糖液を数種類調製し(pH 6),発酵試験を行った。いずれの系においても,糖はほぼ完全に消費され,エタノールに変換された。このことから厳しい水蒸気爆砕条件(Ro=4.71)での発酵阻害物質は酢酸,既知のフラン化合物あるいは,リグニン由来の芳香族化合物とは異なる化合物である可能性が示唆された。 |
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Bibliography: | ObjectType-Article-1 SourceType-Scholarly Journals-1 ObjectType-Feature-2 content type line 14 |
ISSN: | 1346-8804 1349-273X |
DOI: | 10.1627/jpi.61.191 |