12年間の経過観察後に切除され診断が確定したオカルト甲状腺乳頭癌の孤立性肺転移の1例

症例は61歳,女性.12年前に胸部CTで左肺下葉に18 mm大の腫瘤を指摘され,厳重フォローの方針となるも受診は途絶えがちであった.今回は再度検診で異常影を指摘されて受診した.腫瘤は30 mmに増大しており,原発性肺癌が疑われて手術の方針となった.術中迅速組織診断で肺腺癌と診断され左肺下葉切除+リンパ節郭清を施行したが,術後の病理組織診断は甲状腺乳頭癌の肺転移であった.その後の超音波検査で甲状腺右葉に小結節影を認め,甲状腺全摘+頚部リンパ節郭清を施行.最終病理組織診断は甲状腺乳頭癌,pT1aN1bM1,Stage IVAであった.甲状腺乳頭癌の孤立性肺転移と原発性肺腺癌の鑑別はしばしば困難とさ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 148 - 152
Main Authors 万木, 洋平, 鈴木, 喜雅, 中村, 廣繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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Summary:症例は61歳,女性.12年前に胸部CTで左肺下葉に18 mm大の腫瘤を指摘され,厳重フォローの方針となるも受診は途絶えがちであった.今回は再度検診で異常影を指摘されて受診した.腫瘤は30 mmに増大しており,原発性肺癌が疑われて手術の方針となった.術中迅速組織診断で肺腺癌と診断され左肺下葉切除+リンパ節郭清を施行したが,術後の病理組織診断は甲状腺乳頭癌の肺転移であった.その後の超音波検査で甲状腺右葉に小結節影を認め,甲状腺全摘+頚部リンパ節郭清を施行.最終病理組織診断は甲状腺乳頭癌,pT1aN1bM1,Stage IVAであった.甲状腺乳頭癌の孤立性肺転移と原発性肺腺癌の鑑別はしばしば困難とされる.緩徐に増大する確定診断の得られない孤立性肺結節は,甲状腺癌の肺転移も念頭に置くべきと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.148