腎摘出後2年目に胃転移で再発した腎細胞癌の1例
腎細胞癌は数年を経て転移再発することがある疾患であり, 転移臓器は肺・肝・骨・脳に多いとされる. 今回われわれは, 左腎細胞癌に対し腎摘出後2年目に, 孤立性に胃転移をきたした稀な症例を経験した. 症例は77歳, 男性. 2003年9月, 他院にて左腎細胞癌に対し左腎摘出術を施行された. 2005年12月, 黒色便を認め近医を受診し, 著明な貧血を指摘された. 当院に紹介となり精査したところ, 上部内視鏡検査で胃体上部に約5cmの1型の腫瘍を認めた. 生検組織検査で免疫組織学的にビメンチン染色陽性であり, 左腎摘出時の腎細胞癌と同様の所見であったことから, 腎細胞癌胃転移と診断した. 2006...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 6; pp. 1432 - 1436 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2007
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.68.1432 |
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Summary: | 腎細胞癌は数年を経て転移再発することがある疾患であり, 転移臓器は肺・肝・骨・脳に多いとされる. 今回われわれは, 左腎細胞癌に対し腎摘出後2年目に, 孤立性に胃転移をきたした稀な症例を経験した. 症例は77歳, 男性. 2003年9月, 他院にて左腎細胞癌に対し左腎摘出術を施行された. 2005年12月, 黒色便を認め近医を受診し, 著明な貧血を指摘された. 当院に紹介となり精査したところ, 上部内視鏡検査で胃体上部に約5cmの1型の腫瘍を認めた. 生検組織検査で免疫組織学的にビメンチン染色陽性であり, 左腎摘出時の腎細胞癌と同様の所見であったことから, 腎細胞癌胃転移と診断した. 2006年2月, 胃全摘術, D2郭清を施行した. 病理組織検査では, 好酸性の細胞質を持つ腫瘍細胞が線維血管性間質を交え偽腺管状となって増殖していた. 摘除された左腎細胞癌と同一の細胞像であり, 胃転移に矛盾しない所見であった. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.68.1432 |