絞扼性イレウスで発症した大網血管腫の1例

大網血管腫により絞扼性イレウスをきたした稀な症例を経験した.症例は17歳女性,急性腹症にて当院搬送.腹部造影CTで,原因不明5cm大の紡錘状構造物を認め,これに近接して小腸の絞扼性イレウスを認めた.Meckel憩室による絞扼性イレウスを疑い,緊急開腹手術を行った.大網内に縦径約5cm,紡錘状の腫瘤があり,これが索状物を介して回盲部から約110cm口側の回腸と連続していた.この索状物によって小腸が絞扼されており,大網内腫瘤を切除摘出して絞扼を解除した.摘出された腫瘤は,病理組織学的には静脈性血管腫の診断で,索状物内には血管構造を認めず,異所性胃粘膜等のMeckel憩室に特異的な所見は認められなか...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 1319 - 1323
Main Authors 長嵜, 寿矢, 小松, 英明, 劉, 中誠, 柴田, 良仁, 村岡, 昌司, 山口, 広之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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Summary:大網血管腫により絞扼性イレウスをきたした稀な症例を経験した.症例は17歳女性,急性腹症にて当院搬送.腹部造影CTで,原因不明5cm大の紡錘状構造物を認め,これに近接して小腸の絞扼性イレウスを認めた.Meckel憩室による絞扼性イレウスを疑い,緊急開腹手術を行った.大網内に縦径約5cm,紡錘状の腫瘤があり,これが索状物を介して回盲部から約110cm口側の回腸と連続していた.この索状物によって小腸が絞扼されており,大網内腫瘤を切除摘出して絞扼を解除した.摘出された腫瘤は,病理組織学的には静脈性血管腫の診断で,索状物内には血管構造を認めず,異所性胃粘膜等のMeckel憩室に特異的な所見は認められなかった.大網血管腫の本邦報告例は本症例を含めても17例と稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1319