肺腫瘍切除断端再発を疑った肉芽腫の一例

今回我々は,肺切除後短期間に断端に腫瘤形成をし,診断に難渋した症例を経験したので報告する.症例は69歳男性.3年前に直腸癌手術の既往有り.紹介医でのフォロー中に胸部CTで右肺下葉に異常陰影を認めた.精査で直腸癌肺転移の診断となり,右下葉切除および中葉一部合併切除を行った.その後術後補助化学療法を施行されたが,術後4ヵ月で腫瘍マーカー(CEA)の上昇,胸部CT上自動縫合器による切除断端部に新たな異常陰影の出現および胸水貯留を認め,FDG-PETでは同結節影に異常集積を認めた.以上より術中迅速診断で悪性の診断ならば右中葉切除または残存肺全摘の方針とした.術中迅速組織診断で,肉芽腫の診断となったため...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 243 - 247
Main Authors 柴田, 英克, 森, 毅, 眞田, 宗, 白石, 健治, 鈴木, 実, 池田, 公英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.243

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Summary:今回我々は,肺切除後短期間に断端に腫瘤形成をし,診断に難渋した症例を経験したので報告する.症例は69歳男性.3年前に直腸癌手術の既往有り.紹介医でのフォロー中に胸部CTで右肺下葉に異常陰影を認めた.精査で直腸癌肺転移の診断となり,右下葉切除および中葉一部合併切除を行った.その後術後補助化学療法を施行されたが,術後4ヵ月で腫瘍マーカー(CEA)の上昇,胸部CT上自動縫合器による切除断端部に新たな異常陰影の出現および胸水貯留を認め,FDG-PETでは同結節影に異常集積を認めた.以上より術中迅速診断で悪性の診断ならば右中葉切除または残存肺全摘の方針とした.術中迅速組織診断で,肉芽腫の診断となったため,部分切除のみで手術を終了とした.切除断端に出現した病変は良悪性の鑑別に難渋する.特に非解剖学的切除が行われた切除断端への腫瘤形成時には,画像および腫瘍マーカーのみでは悪性を否定できず,病理組織学的診断をつける必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.243