乳頭に限局した乳癌の1例

症例は50歳,女性.2007年5月ごろより左乳頭異常分泌を自覚し,2008年5月近医を受診した.MRI,細胞診,針生検などするも確定診断つかず,経過観察されていたが,当院での精査を希望し同年7月末に当科を受診した.マンモグラフィにて左乳頭から乳管洞にかけて,多形性石灰化を集簇して認めた.MRIでは乳頭内に索状高信号を認めた.また乳腺超音波検査にて右乳房に不整形の低エコー域があり,針生検にてDCISと診断した.右の病変に対して乳房温存手術+センチネルリンパ節生検,左は乳腺腺葉区分切除術を施行した.病理組織診断では,両側ともDCISであり,左側は乳頭部乳管に限局していた.乳頭部に発生した乳管癌はき...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 1137 - 1143
Main Authors 高田, 晃宏, 西, 敏夫, 吉田, 哲也, 向坂, 英樹, 五福, 淳二, 中野, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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Summary:症例は50歳,女性.2007年5月ごろより左乳頭異常分泌を自覚し,2008年5月近医を受診した.MRI,細胞診,針生検などするも確定診断つかず,経過観察されていたが,当院での精査を希望し同年7月末に当科を受診した.マンモグラフィにて左乳頭から乳管洞にかけて,多形性石灰化を集簇して認めた.MRIでは乳頭内に索状高信号を認めた.また乳腺超音波検査にて右乳房に不整形の低エコー域があり,針生検にてDCISと診断した.右の病変に対して乳房温存手術+センチネルリンパ節生検,左は乳腺腺葉区分切除術を施行した.病理組織診断では,両側ともDCISであり,左側は乳頭部乳管に限局していた.乳頭部に発生した乳管癌はきわめてまれであるので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1137