乳児緊張性肺嚢胞症の手術経験

緊張性肺嚢胞症とは,肺嚢胞の急激かつ過度な増大のため,胸腔内臓器が圧排され重篤な呼吸循環障害をきたした際の病態である.新生児期から乳児期にかけて発症し,急速に呼吸循環不全を来すため緊急手術となることが多い.症例は7ヵ月の男児で,生下時に人工呼吸管理を受けていた.生後7日目に嚢胞が出現し,経過とともに増大し呼吸循環障害を来すようになり当科に紹介となった.胸部CTでは左胸腔を占める嚢胞と,縦隔の偏位を認めた.予定手術として,左後側方切開による嚢胞切除術が行われた.麻酔導入時に呼吸循環動態が不安定となったが,速やかに嚢胞内の減圧を行ったことで安定した.嚢胞以外の肺実質は健常で,嚢胞切除後の残存肺の膨...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 483 - 487
Main Authors 栁澤, 純, 永田, 旭, 平塚, 昌文, 山下, 眞一, 白石, 武史, 岩﨑, 昭憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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Summary:緊張性肺嚢胞症とは,肺嚢胞の急激かつ過度な増大のため,胸腔内臓器が圧排され重篤な呼吸循環障害をきたした際の病態である.新生児期から乳児期にかけて発症し,急速に呼吸循環不全を来すため緊急手術となることが多い.症例は7ヵ月の男児で,生下時に人工呼吸管理を受けていた.生後7日目に嚢胞が出現し,経過とともに増大し呼吸循環障害を来すようになり当科に紹介となった.胸部CTでは左胸腔を占める嚢胞と,縦隔の偏位を認めた.予定手術として,左後側方切開による嚢胞切除術が行われた.麻酔導入時に呼吸循環動態が不安定となったが,速やかに嚢胞内の減圧を行ったことで安定した.嚢胞以外の肺実質は健常で,嚢胞切除後の残存肺の膨張も良好であり,術前にみられた呼吸循環障害も解消された.新生児や乳児において嚢胞の自然消褪がみられない場合には呼吸循環不全が重篤になる前に外科手術を考慮することが重要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.483