肺癌術後肺炎・膿胸に二次性器質化肺炎を併発し診断と治療に難渋した1例

症例は68歳男性,左上葉肺腺癌(cT2aN0M0 Stage IB)に対し左上葉切除術を施行.術後発熱を認めCT検査で左肺炎と肺門に限局した膿瘍を疑った.Ampicillin/Sulbactamを投与するも熱型は改善せず,術後17日目に膿胸の診断で再開胸ドレナージ術を施行.胸水培養で多剤耐性菌Streptococcus mitisを検出し,抗菌薬をLevofloxacin+Clindamycinに変更し左肺浸潤影は改善したが右肺斑状影は悪化した.気管支肺胞洗浄を施行し,リンパ球数の増加を認めたためまず薬剤性肺炎を疑い抗菌薬を中止したが陰影の改善はなく,呼吸状態は悪化し低酸素血症を認めた.除外診...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 234 - 239
Main Authors 岡田, 悟, 常塚, 啓彰, 石川, 成美, 西村, 友樹, 井上, 匡美, 下村, 雅律
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.234

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Summary:症例は68歳男性,左上葉肺腺癌(cT2aN0M0 Stage IB)に対し左上葉切除術を施行.術後発熱を認めCT検査で左肺炎と肺門に限局した膿瘍を疑った.Ampicillin/Sulbactamを投与するも熱型は改善せず,術後17日目に膿胸の診断で再開胸ドレナージ術を施行.胸水培養で多剤耐性菌Streptococcus mitisを検出し,抗菌薬をLevofloxacin+Clindamycinに変更し左肺浸潤影は改善したが右肺斑状影は悪化した.気管支肺胞洗浄を施行し,リンパ球数の増加を認めたためまず薬剤性肺炎を疑い抗菌薬を中止したが陰影の改善はなく,呼吸状態は悪化し低酸素血症を認めた.除外診断により器質化肺炎と考えステロイドパルス療法およびプレドニゾロン維持療法を行い,呼吸状態と右肺浸潤影は速やかに改善した.外来でステロイドを漸減中止し器質化肺炎の再燃なく術後1年経過している.肺癌術後の難治性肺炎肺炎では本例のような二次性器質化肺炎を考慮する必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.234