臍部腫瘤を契機に発見された胃癌の1例

症例は72歳,女性.臍部腫瘤の摘出を目的に当院入院となった.術中所見では胃幽門部から十二指腸球部付近の大網に不整な引きつれと弾性硬の腫瘤を触知し,臍部腫瘤は腺癌転移と診断された.術後の上部消化管内視鏡で胃幽門から十二指腸粘膜の白色浮腫状変化を認めた.同部の生検から印環細胞癌が検出され,胃癌臍転移と診断された.腹腔内悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Joseph結節と呼ばれ,比較的まれで,悪性腫瘍の初発症状として出現する場合がある.確定診断が困難な臍部腫瘤症例では,可能であれば早期に腫瘤を摘出し病理学的検査を行って,確定診断すべきであると思われた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 7; pp. 1774 - 1778
Main Authors 西巻, 正, 久志, 一朗, 石野, 信一郎, 白石, 祐之, 長濱, 正吉, 下地, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1774

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Summary:症例は72歳,女性.臍部腫瘤の摘出を目的に当院入院となった.術中所見では胃幽門部から十二指腸球部付近の大網に不整な引きつれと弾性硬の腫瘤を触知し,臍部腫瘤は腺癌転移と診断された.術後の上部消化管内視鏡で胃幽門から十二指腸粘膜の白色浮腫状変化を認めた.同部の生検から印環細胞癌が検出され,胃癌臍転移と診断された.腹腔内悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Joseph結節と呼ばれ,比較的まれで,悪性腫瘍の初発症状として出現する場合がある.確定診断が困難な臍部腫瘤症例では,可能であれば早期に腫瘤を摘出し病理学的検査を行って,確定診断すべきであると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1774