肺癌完全切除により角化性紅斑が改善したBazex症候群の1例

皮膚所見は腫瘍随伴症候群のひとつとして重要であるが,しばしばその背景に存在する悪性腫瘍が見落とされ,対症療法のみで経過をみられることがある.今回,肺癌完全切除により3年以上続いていた角化性皮膚炎が治癒したBazex症候群の1例を経験したので報告する.症例は77歳男性,3年前から顔面,手指,頸項部に角化性紅斑を認め,経時的に増悪し近医皮膚科で対症療法をされていた.検診のレントゲンで胸部異常陰影を指摘され,生検にて非小細胞肺癌と診断され,右上葉切除を施行した.術後4日目から著明な皮膚所見の改善を認め,外用薬が不要となり,術後2ヵ月で消失した.現在術後4ヵ月再発なく皮膚症状も再燃なく経過している....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 123 - 128
Main Authors 篠原, 周一, 鬼塚, 貴光, 深津, 藤子, 町田, 和彦, 松尾, 正樹, 菅谷, 将一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
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Summary:皮膚所見は腫瘍随伴症候群のひとつとして重要であるが,しばしばその背景に存在する悪性腫瘍が見落とされ,対症療法のみで経過をみられることがある.今回,肺癌完全切除により3年以上続いていた角化性皮膚炎が治癒したBazex症候群の1例を経験したので報告する.症例は77歳男性,3年前から顔面,手指,頸項部に角化性紅斑を認め,経時的に増悪し近医皮膚科で対症療法をされていた.検診のレントゲンで胸部異常陰影を指摘され,生検にて非小細胞肺癌と診断され,右上葉切除を施行した.術後4日目から著明な皮膚所見の改善を認め,外用薬が不要となり,術後2ヵ月で消失した.現在術後4ヵ月再発なく皮膚症状も再燃なく経過している.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.123