多彩な表面型病変を呈した胃原発転移性多発大腸癌の1例

症例は76歳, 女性. 主訴は食欲不振. 胃内視鏡にて胃体下部から前庭部にかけて3型腫瘍を認め, 生検で印環細胞癌を含む低分化腺癌と診断され当科紹介となった. 注腸造影にて横行結腸に隆起性病変を認めた. 大腸内視鏡にて上行結腸から直腸にかけて多彩な肉眼形態を示す5mmから15mm大の隆起性病変が多発していた. 生検で印環細胞と低分化腺癌が混在し, 胃癌の大腸転移が示唆されたが, 胃病変は貧血, 狭窄症状を生じており, 幽門側胃切除術を実施した. 肝転移, 腹膜播種はなく, 病理診断は印環細胞癌を含む低分化型腺癌であり, se, ly3, v3, CY0であった. 大腸病変は胃癌の大腸転移と診断...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 8; pp. 2019 - 2023
Main Authors 山口, 広之, 飛永, 晃二, 柴崎, 信一, 生田, 安司, 小松, 英明, 長谷場, 仁俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2019

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Summary:症例は76歳, 女性. 主訴は食欲不振. 胃内視鏡にて胃体下部から前庭部にかけて3型腫瘍を認め, 生検で印環細胞癌を含む低分化腺癌と診断され当科紹介となった. 注腸造影にて横行結腸に隆起性病変を認めた. 大腸内視鏡にて上行結腸から直腸にかけて多彩な肉眼形態を示す5mmから15mm大の隆起性病変が多発していた. 生検で印環細胞と低分化腺癌が混在し, 胃癌の大腸転移が示唆されたが, 胃病変は貧血, 狭窄症状を生じており, 幽門側胃切除術を実施した. 肝転移, 腹膜播種はなく, 病理診断は印環細胞癌を含む低分化型腺癌であり, se, ly3, v3, CY0であった. 大腸病変は胃癌の大腸転移と診断された. 今回の大腸への転移形式は, リンパ行性転移がもっとも考えられた. 進行胃癌症例においては, 大腸転移を念頭においた検査が必要と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2019