反回神経より発生した上縦隔神経鞘腫の1切除例

症例は69歳男性.検診レントゲン異常で前医を受診した.胸部CTにて上縦隔に気管の右側偏位を伴う40 mm大の腫瘤を認め当院紹介となった.気管支鏡検査で気管への浸潤を疑うような所見はなく,生検で神経鞘腫と診断され,外科的切除の方針となった.胸骨正中切開でアプローチし,腫瘍が腕頭動脈と左総頚動脈の間に存在し,気管の右側へ圧排を確認した.術中神経モニタリングシステム(NIM;Nerve Integrity Monitoring)を使用し,反回神経の走行を確認しながら腫瘍被膜を切開し,腫瘍成分を被膜間摘出した.術後,嗄声は認めず第8病日に退院となった.現在術後12ヵ月無再発経過中である.NIMで神経束...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 619 - 623
Main Authors 黒田, 紗菜恵, 田中, 雄悟, 井澤, 良介, 酒井, 秀都, 法華, 大助, 眞庭, 謙昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2021
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Summary:症例は69歳男性.検診レントゲン異常で前医を受診した.胸部CTにて上縦隔に気管の右側偏位を伴う40 mm大の腫瘤を認め当院紹介となった.気管支鏡検査で気管への浸潤を疑うような所見はなく,生検で神経鞘腫と診断され,外科的切除の方針となった.胸骨正中切開でアプローチし,腫瘍が腕頭動脈と左総頚動脈の間に存在し,気管の右側へ圧排を確認した.術中神経モニタリングシステム(NIM;Nerve Integrity Monitoring)を使用し,反回神経の走行を確認しながら腫瘍被膜を切開し,腫瘍成分を被膜間摘出した.術後,嗄声は認めず第8病日に退院となった.現在術後12ヵ月無再発経過中である.NIMで神経束の走行を確認しながら被膜間摘出術を施行し,反回神経を温存することで神経麻痺を回避することが可能となった,縦隔神経鞘腫の1切除例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.619