肺切除で診断が確定し,術後経過に応じて化学療法を施行した肺MALTリンパ腫の4例

症状はなく,胸部X線の異常陰影で精査となり,肺切除により診断確定後の経過観察中の病態に応じて化学療法を施行した肺MALTリンパ腫の4症例(女3例,男1例,平均年齢62歳)を報告する.胸部CTでは腫瘤影,結節影,スリガラス陰影など様々な陰影を呈した.気管支鏡検査が施行された3例では肺生検や細胞診にて診断は確定せず,全例,診断と治療を目的の肺切除による病理組織にて診断が確定した.術後は血液内科が観察し,術後2~10年の時点で2例が術後補助療法として,2例が他の部位に出現したMALTの制御を目的に化学療法を施行した.1例は術後26年に他の悪性疾患で病死したが,ほかの3例は11年,2年6ヵ月,1年8ヵ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 326 - 331
Main Authors 土屋, 恭子, 三由, 僚, 前田, 明則, 千原, 幸司, 名波, 勇人, 森木, 利昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.326

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Summary:症状はなく,胸部X線の異常陰影で精査となり,肺切除により診断確定後の経過観察中の病態に応じて化学療法を施行した肺MALTリンパ腫の4症例(女3例,男1例,平均年齢62歳)を報告する.胸部CTでは腫瘤影,結節影,スリガラス陰影など様々な陰影を呈した.気管支鏡検査が施行された3例では肺生検や細胞診にて診断は確定せず,全例,診断と治療を目的の肺切除による病理組織にて診断が確定した.術後は血液内科が観察し,術後2~10年の時点で2例が術後補助療法として,2例が他の部位に出現したMALTの制御を目的に化学療法を施行した.1例は術後26年に他の悪性疾患で病死したが,ほかの3例は11年,2年6ヵ月,1年8ヵ月,再発なく健在である.標準治療がいまだ確定されていないこの疾患に対する肺切除は有効な治療選択肢の一つであり,血液内科と連携しての経過観察が重要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.326