乳児期の開胸手術で肋骨の固定に使用された鋼線が原因で気胸を繰り返した1例

骨折整復時に使用された鋼線が移動し隣接臓器を損傷した報告はこれまでにも散見される.今回我々は乳児期の開胸手術で使用された鋼線が断裂し,術後20年に気胸を繰り返した一例を経験した.症例は20歳男性.生後6ヵ月時に成熟奇形腫に対して前縦隔腫瘍切除術が行われ,離断された左第3,4,5肋骨を鋼線で固定された.18歳時に健診で左気胸を指摘された既往があり,再度左気胸を発症して受診した.胸腔ドレナージにて一度軽快したが短期間で再発した.胸部CTで第5肋骨から胸腔内に突出する異物を認め,胸腔鏡下に肺瘻閉鎖・異物除去術を施行した.第5肋骨の固定に用いられた鋼線が断裂して胸腔内に突出し肺を損傷していた.鋼線を除...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 675 - 678
Main Authors 大竹, 洋介, 住友, 亮太, 黄, 政龍, 福井, 崇将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.675

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Summary:骨折整復時に使用された鋼線が移動し隣接臓器を損傷した報告はこれまでにも散見される.今回我々は乳児期の開胸手術で使用された鋼線が断裂し,術後20年に気胸を繰り返した一例を経験した.症例は20歳男性.生後6ヵ月時に成熟奇形腫に対して前縦隔腫瘍切除術が行われ,離断された左第3,4,5肋骨を鋼線で固定された.18歳時に健診で左気胸を指摘された既往があり,再度左気胸を発症して受診した.胸腔ドレナージにて一度軽快したが短期間で再発した.胸部CTで第5肋骨から胸腔内に突出する異物を認め,胸腔鏡下に肺瘻閉鎖・異物除去術を施行した.第5肋骨の固定に用いられた鋼線が断裂して胸腔内に突出し肺を損傷していた.鋼線を除去し,肺損傷部を修復した.術後は順調に経過しその後気胸の再発を認めていない.肋骨の固定のため留置された鋼線は長期間を経て断裂することがあり注意を要する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.675