大部分が囊胞変性した左横隔神経鞘腫の1例

今回我々は大部分が囊胞変性した左横隔神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は27歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘されて,当院紹介受診となった.胸部CT検査では左腕頭動脈,大動脈弓部に沿って30 mmの腫瘤影を認め,胸部MRI検査では胸腺囊胞が疑われたが,胸腺腫との鑑別を要した.そこで診断および治療目的で胸腔鏡下手術を施行した.腫瘍は横隔神経に連続していたが,内部は液状であり,充実成分は確認出来なかった.術中迅速診断では囊胞であったため,横隔神経を温存する形で腫瘍を摘出した.永久病理診断で,ごく一部に充実成分を認め神経鞘腫と診断された.前縦隔囊胞性疾患では囊胞壁の肥厚や周囲組織への浸潤所見の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 122 - 126
Main Authors 井上, 健太郎, 鈴木, 仁之, 庄村, 心, 島本, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.122

Cover

Loading…
More Information
Summary:今回我々は大部分が囊胞変性した左横隔神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は27歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘されて,当院紹介受診となった.胸部CT検査では左腕頭動脈,大動脈弓部に沿って30 mmの腫瘤影を認め,胸部MRI検査では胸腺囊胞が疑われたが,胸腺腫との鑑別を要した.そこで診断および治療目的で胸腔鏡下手術を施行した.腫瘍は横隔神経に連続していたが,内部は液状であり,充実成分は確認出来なかった.術中迅速診断では囊胞であったため,横隔神経を温存する形で腫瘍を摘出した.永久病理診断で,ごく一部に充実成分を認め神経鞘腫と診断された.前縦隔囊胞性疾患では囊胞壁の肥厚や周囲組織への浸潤所見の有無を十分に検討し,手術適応や切除範囲を考慮する必要があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.122