顆粒球コロニー刺激因子の発現を認めた限局性悪性胸膜中皮腫の1切除例

顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF)の発現を認める限局性悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.症例は75歳男性で,発熱と胸部違和感のため当院を受診した.胸部CTで肋骨に接する単発性の腫瘤を認めた.血液検査上,炎症反応上昇と発熱を認めたため手術まで抗生剤治療を継続した.術中針生検による迅速病理診断でも確定診断は得られず,左上葉切除と第1・2肋骨合併切除を施行した.免疫組織化学検査で肉腫型の限局性悪性胸膜中皮腫であり,一部の腫瘍細胞は抗G-CSF抗体陽性であった.術後化学療法は施行せず,20ヵ月が経過するが,再発なく生存している...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 689 - 696
Main Authors 内山, 美佳, 川角, 佑太, 上野, 陽史, 門松, 由佳, 森, 正一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.689

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Summary:顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF)の発現を認める限局性悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.症例は75歳男性で,発熱と胸部違和感のため当院を受診した.胸部CTで肋骨に接する単発性の腫瘤を認めた.血液検査上,炎症反応上昇と発熱を認めたため手術まで抗生剤治療を継続した.術中針生検による迅速病理診断でも確定診断は得られず,左上葉切除と第1・2肋骨合併切除を施行した.免疫組織化学検査で肉腫型の限局性悪性胸膜中皮腫であり,一部の腫瘍細胞は抗G-CSF抗体陽性であった.術後化学療法は施行せず,20ヵ月が経過するが,再発なく生存している.限局性胸膜中皮腫は術中診断が困難な疾患であり,可能なかぎり術前の組織診断が望ましいこと,経過中に原因の特定できない炎症反応上昇を認めた場合はG-CSF産生腫瘍の可能性を検討する必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.689