単純性小腸潰瘍穿孔後に繰り返し発症した壊死型虚血性小腸炎の1例

症例は80歳代,女性.単純性潰瘍による小腸穿孔後,子宮癌で放射線治療後であり,狭心症・気管支喘息・心房細動で治療中であった.腹痛で当科に紹介された.腹部CT検査上,小腸の一部は全周性浮腫で鉛管状を呈し同部位は造影不良であった.腹水と腸間膜脂肪織濃度の上昇も認めた.小腸虚血壊死による穿孔性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.回腸は10cmにわたり帯状に壊死しており小腸部分切除を施行した.病理所見上,腸管壁は粘膜から筋層に壊死を認めた.腸間膜内の動脈に強い動脈硬化性変化を認め,虚血性小腸炎と診断した.1年7カ月後に再び腹痛があり当科に紹介された.腹部CT検査で前回と同様の所見であり小腸虚血壊死による...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1101 - 1105
Main Authors 竹原, 朗, 宗本, 義則, 三浦, 将司, 飯田, 善郎, 浅田, 康行, 三井, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1101

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Summary:症例は80歳代,女性.単純性潰瘍による小腸穿孔後,子宮癌で放射線治療後であり,狭心症・気管支喘息・心房細動で治療中であった.腹痛で当科に紹介された.腹部CT検査上,小腸の一部は全周性浮腫で鉛管状を呈し同部位は造影不良であった.腹水と腸間膜脂肪織濃度の上昇も認めた.小腸虚血壊死による穿孔性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.回腸は10cmにわたり帯状に壊死しており小腸部分切除を施行した.病理所見上,腸管壁は粘膜から筋層に壊死を認めた.腸間膜内の動脈に強い動脈硬化性変化を認め,虚血性小腸炎と診断した.1年7カ月後に再び腹痛があり当科に紹介された.腹部CT検査で前回と同様の所見であり小腸虚血壊死による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.回腸が20cmにわたり壊死しており小腸部分切除し,口側断端を人工肛門とした.病理学的に前回と同様の所見であり虚血性腸炎と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1101