膿瘍形成を繰り返し,プラグの除去を施行した成人鼠径ヘルニア遅発性感染の1例

症例は46歳,男性.7年前に左鼠径ヘルニアに対し,mesh plugを用いたヘルニア根治術を施行した.術後3年目,5年目に膿瘍を形成し,切開排膿を行い,共に3カ月ほどで治癒した.今回,3度目の感染徴候が認められ,瘻孔形成を認めたため,摘出目的で入院となった.創部からの培養検査ではStaphylococcus aureusが検出された.手術時には瘻孔内ヘインジゴカルミンを注入して瘻孔切除とplugの摘出を行った.このような症例で問題となるのはmesh除去の適応および時期であるが,これまでの報告例および自験例から,(1)遅発性感染,(2)保存的治療にて1カ月以内に改善傾向が認められない,(3)保存...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 1566 - 1571
Main Authors 因来, 泰彦, 吉川, 武志, 清水, 康廣, 杉山, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1566

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Summary:症例は46歳,男性.7年前に左鼠径ヘルニアに対し,mesh plugを用いたヘルニア根治術を施行した.術後3年目,5年目に膿瘍を形成し,切開排膿を行い,共に3カ月ほどで治癒した.今回,3度目の感染徴候が認められ,瘻孔形成を認めたため,摘出目的で入院となった.創部からの培養検査ではStaphylococcus aureusが検出された.手術時には瘻孔内ヘインジゴカルミンを注入して瘻孔切除とplugの摘出を行った.このような症例で問題となるのはmesh除去の適応および時期であるが,これまでの報告例および自験例から,(1)遅発性感染,(2)保存的治療にて1カ月以内に改善傾向が認められない,(3)保存的治療による軽快・再燃を繰り返す,(4)瘻孔が存在する,(5)保存的治療中にmeshを触知する,といった場合には手術を考慮すべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1566