腹膜播種にて発症した骨外性骨肉腫の1例
症例は72歳,男性.主訴は腹部膨満感.腹水による腹部緊満を認め,右側腹部に手拳大,弾性硬の硬結を触知した.腹部CT検査にて,上行結腸から横行結腸周囲に多数の腫瘤と回盲部の後腹膜に石灰化を伴う腫瘤を認めた.入院後第14病日に試験開腹を施行した.多量の血性腹水および腹膜表面と結腸間膜に多数の結節を認め,12cm大の腫瘤を1個摘出した.病理組織検査では骨形成を伴う紡錘形の腫瘍細胞を認め,骨肉腫と診断された.術中所見および術後に施行した骨シンチの結果から後腹膜原発骨外性骨肉腫と診断した.術後はPerformance statusが非常に悪かったため,Best supportive careのみを行った...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 1528 - 1532 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.1528 |
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Summary: | 症例は72歳,男性.主訴は腹部膨満感.腹水による腹部緊満を認め,右側腹部に手拳大,弾性硬の硬結を触知した.腹部CT検査にて,上行結腸から横行結腸周囲に多数の腫瘤と回盲部の後腹膜に石灰化を伴う腫瘤を認めた.入院後第14病日に試験開腹を施行した.多量の血性腹水および腹膜表面と結腸間膜に多数の結節を認め,12cm大の腫瘤を1個摘出した.病理組織検査では骨形成を伴う紡錘形の腫瘍細胞を認め,骨肉腫と診断された.術中所見および術後に施行した骨シンチの結果から後腹膜原発骨外性骨肉腫と診断した.術後はPerformance statusが非常に悪かったため,Best supportive careのみを行った.腹膜播種増悪のため,術後第78日目に永眠された.骨外性骨肉腫はきわめて稀な疾患であり,その予後は不良である.症例の集積による病態の解明が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.1528 |