偽還納をきたした鼠径ヘルニアの1例

偽還納は鼠径ヘルニア嵌頓に伴う合併症として知られている.われわれは鼠径ヘルニア嵌頓症例において偽還納を経験したので報告する.症例は81歳,女性.2009年4月下旬からの腹痛を主訴に当院紹介となる.腹部CTにて鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.用手還納後に手術施行.直接ヘルニアと診断したがヘルニア嚢は確認できなかった.Prolene Hernia Systemを用い根治術を施行した.術後もイレウスの改善がみられなかったため腹部CT施行し偽還納を疑った.腹腔鏡下に検索し偽還納であると診断した.イレウス解除術施行し,術後経過良好であった.鼠径ヘルニア根治術後のイレウスには偽還納を考慮する必要がある.イレウ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2473 - 2476
Main Authors 田村, 明彦, 勝又, 貴夫, 橋本, 健夫, 藤村, 匠, 服部, 俊昭, 阿部, 定範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2473

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Summary:偽還納は鼠径ヘルニア嵌頓に伴う合併症として知られている.われわれは鼠径ヘルニア嵌頓症例において偽還納を経験したので報告する.症例は81歳,女性.2009年4月下旬からの腹痛を主訴に当院紹介となる.腹部CTにて鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.用手還納後に手術施行.直接ヘルニアと診断したがヘルニア嚢は確認できなかった.Prolene Hernia Systemを用い根治術を施行した.術後もイレウスの改善がみられなかったため腹部CT施行し偽還納を疑った.腹腔鏡下に検索し偽還納であると診断した.イレウス解除術施行し,術後経過良好であった.鼠径ヘルニア根治術後のイレウスには偽還納を考慮する必要がある.イレウス解除を行う際,状況によっては腹腔鏡を用いることが有用であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2473