温存術後乳房に発生した放射線照射後皮膚血管肉腫の1例

50歳,女性.平成10年に右乳癌に対し乳房温存手術(C領域,Bp+Ax,T2N0M0,StageI,Scirrhous carcinoma).術後放射線照射を計50Gy施行. 術後6年5カ月目より右乳房A領域に発赤,硬結を認め楔状切除生検を施行.病理組織検査の結果,血管肉腫と診断された.断端陽性の可能性があり,追加切除術+植皮術を施行した.追加切除標本では肉腫の残存は認めなかったが,さらに2年後に再発したため,乳房切除術+広範囲皮膚全層切除術+植皮術を施行した. 放射線照射後皮膚血管肉腫は放射線治療後の0.03~0.8%に発生する稀な疾患である.早期に遠隔転移をきたし,予後不良である.標準治療...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 7; pp. 1601 - 1605
Main Authors 野村, 真治, 岡崎, 嘉一, 藤井, 雅和, 秋山, 紀雄, 友澤, 尚文, 森重, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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Summary:50歳,女性.平成10年に右乳癌に対し乳房温存手術(C領域,Bp+Ax,T2N0M0,StageI,Scirrhous carcinoma).術後放射線照射を計50Gy施行. 術後6年5カ月目より右乳房A領域に発赤,硬結を認め楔状切除生検を施行.病理組織検査の結果,血管肉腫と診断された.断端陽性の可能性があり,追加切除術+植皮術を施行した.追加切除標本では肉腫の残存は認めなかったが,さらに2年後に再発したため,乳房切除術+広範囲皮膚全層切除術+植皮術を施行した. 放射線照射後皮膚血管肉腫は放射線治療後の0.03~0.8%に発生する稀な疾患である.早期に遠隔転移をきたし,予後不良である.標準治療法は確立されておらず,早期発見と広範囲切除が予後の改善につながると考えられている. 乳癌に対する温存術後乳房に発生した放射線照射後皮膚血管肉腫という稀な疾患を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1601