リンパ節転移を伴った低悪性度粘表皮癌の1例

粘表皮癌は稀な肺癌で,なかでも低悪性度例がリンパ節転移を伴う頻度は稀である.今回その稀なリンパ節転移を伴った低悪性度粘表皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は47歳女性.鬱病で近医通院中,定期健診を兼ねた胸部X線及びCT検査で異常陰影を認めたため,精査目的で当院紹介となった.胸部CT検査で左上幹部の腫瘤影と舌区の無気肺を認めた.PET検査は,腫瘤に限局したFDGの集積(SUVmax2.92)を認めた.気管支鏡検査で左上幹を閉塞する腫瘍を認め,生検で低悪性度粘表皮癌と診断された.気管支形成術を伴う左上葉切除を行い,術中迅速病理診断で肺内リンパ節転移(#12U)を認めたた...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 7; pp. 961 - 965
Main Authors 別所, 俊哉, 百武, 威, 桂, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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Summary:粘表皮癌は稀な肺癌で,なかでも低悪性度例がリンパ節転移を伴う頻度は稀である.今回その稀なリンパ節転移を伴った低悪性度粘表皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は47歳女性.鬱病で近医通院中,定期健診を兼ねた胸部X線及びCT検査で異常陰影を認めたため,精査目的で当院紹介となった.胸部CT検査で左上幹部の腫瘤影と舌区の無気肺を認めた.PET検査は,腫瘤に限局したFDGの集積(SUVmax2.92)を認めた.気管支鏡検査で左上幹を閉塞する腫瘍を認め,生検で低悪性度粘表皮癌と診断された.気管支形成術を伴う左上葉切除を行い,術中迅速病理診断で肺内リンパ節転移(#12U)を認めたため,縦隔リンパ節郭清を行った.最終病理報告でも低悪性度粘表皮癌(pT2aN1M0)の診断であった.術後2年6ヵ月の現在再発なく生存中である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.961