高度肥満を伴う呼吸不全患者における持続腹部陰圧管理の有効性

【症例】32歳,男性。BMI 51.7の高度肥満あり。肺炎のため入院となり,人工呼吸器管理開始するも,呼吸管理に難渋しP/F比は50程度で推移しICUに入室した。経肺圧モニタリングを行い,高度肥満による胸郭コンプライアンス低下および腹腔内圧高値による横隔膜圧迫に抗するために高PEEPでの管理を行い,呼吸状態改善が得られた。また,高度肥満による横隔膜圧迫軽減目的に持続腹部陰圧管理を開始したところ,呼吸器同条件下における呼気終末経肺圧上昇を得ることができた。【考察】呼吸不全管理では人工呼吸器関連肺損傷を避けることが重要であり,その中心となるのが肺保護換気とopen lung戦略である。高度肥満患者...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 25; no. 1; pp. 26 - 30
Main Authors 亀山, 実希, 宮本, 将, 鷹取, 誠, 宇仁田, 亮, 釋舎, 和子, 後藤, 隆司, 武藤, 渚, 大宮, 浩輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2018
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.25_26

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Summary:【症例】32歳,男性。BMI 51.7の高度肥満あり。肺炎のため入院となり,人工呼吸器管理開始するも,呼吸管理に難渋しP/F比は50程度で推移しICUに入室した。経肺圧モニタリングを行い,高度肥満による胸郭コンプライアンス低下および腹腔内圧高値による横隔膜圧迫に抗するために高PEEPでの管理を行い,呼吸状態改善が得られた。また,高度肥満による横隔膜圧迫軽減目的に持続腹部陰圧管理を開始したところ,呼吸器同条件下における呼気終末経肺圧上昇を得ることができた。【考察】呼吸不全管理では人工呼吸器関連肺損傷を避けることが重要であり,その中心となるのが肺保護換気とopen lung戦略である。高度肥満患者では腹腔内圧高値のため,横隔膜が圧迫され肺内外圧差が下降することで肺胞虚脱が助長される。本症例では持続腹部陰圧管理により腹腔内圧が低下し,同条件下でも呼気終末の経肺圧を上昇させることが観察された。本現象は無気肺を改善させ,open lungに有利に働くと考えられる。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.25_26