経胆管的に肝転移したと考えられた早期胆嚢癌の1例

症例は58歳,女性.早期胆嚢癌であったが腫瘍が脱落して総胆管へ落下したため化膿性胆管炎を併発した.内視鏡的乳頭切開術を施行して軽快した後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後病理検査にて病変は胆嚢全体に広がっていたが,粘膜内に限局し,胆嚢管断端陰性であったので経過観察となった.4年後の検査にて肝右葉後区域に肝転移を認めたので切除した.病変は右葉後区域の胆管にほぼ限局して存在し病理組織像からは先行する胆嚢癌の胆管転移からの再発と考えられた.粘膜に限局する胆嚢癌は胆嚢摘出術のみで根治するといわれており,本症例のような経胆管経路での肝転移の報告はなかった.早期胆嚢癌の治療方法を検討する際に考慮すべきと...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 1486 - 1490
Main Authors 吉田, 正史, 位田, 歳晴, 内藤, 恵一, 飯塚, 恒, 芹沢, 隆宏, 杉田, 貴仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は58歳,女性.早期胆嚢癌であったが腫瘍が脱落して総胆管へ落下したため化膿性胆管炎を併発した.内視鏡的乳頭切開術を施行して軽快した後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後病理検査にて病変は胆嚢全体に広がっていたが,粘膜内に限局し,胆嚢管断端陰性であったので経過観察となった.4年後の検査にて肝右葉後区域に肝転移を認めたので切除した.病変は右葉後区域の胆管にほぼ限局して存在し病理組織像からは先行する胆嚢癌の胆管転移からの再発と考えられた.粘膜に限局する胆嚢癌は胆嚢摘出術のみで根治するといわれており,本症例のような経胆管経路での肝転移の報告はなかった.早期胆嚢癌の治療方法を検討する際に考慮すべきと思われたので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1486