直接縫合以外の治療が有効であった気管損傷2例の報告

直接縫合以外の治療が有効であった気管損傷の2症例を報告する.症例1は75歳男性.頸部食道癌術後に胃管気管支瘻を発症,有茎結腸再建を試みるも術操作中に気管損傷を認めた.膜様部の直接縫合による修復を検討したが,術後放射線療法の影響による縫合・吻合部の治癒困難の可能性と,汚染のない1.5 cm程度の膜様部損傷であったことから有茎大胸筋弁を気管左右の死腔に充填し自己治癒を計ることとした.症例2は74歳女性.喘息の重積発作を認め,気管内挿管を施行したところ皮下気腫を認めた.胸部CT・気管支鏡にて気管膜様部に1.5 cmの損傷を確認,膜様部の単純裂創であり,汚染もないため全身状態を考慮し保存的管理とした....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 238 - 243
Main Authors 呉, 哲彦, 横見瀬, 裕保, 横田, 直哉, 中野, 淳, 池田, 敏裕, 大久保, 友人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.238

Cover

More Information
Summary:直接縫合以外の治療が有効であった気管損傷の2症例を報告する.症例1は75歳男性.頸部食道癌術後に胃管気管支瘻を発症,有茎結腸再建を試みるも術操作中に気管損傷を認めた.膜様部の直接縫合による修復を検討したが,術後放射線療法の影響による縫合・吻合部の治癒困難の可能性と,汚染のない1.5 cm程度の膜様部損傷であったことから有茎大胸筋弁を気管左右の死腔に充填し自己治癒を計ることとした.症例2は74歳女性.喘息の重積発作を認め,気管内挿管を施行したところ皮下気腫を認めた.胸部CT・気管支鏡にて気管膜様部に1.5 cmの損傷を確認,膜様部の単純裂創であり,汚染もないため全身状態を考慮し保存的管理とした.2例とも保存的管理で瘻孔部の被膜形成を気管支鏡で確認してから挿管チューブを抜去して治癒を得た.患者の状態や術前療法の影響等で縫合閉鎖が困難な場合には,損傷部の直接縫合以外加療の選択も念頭に置く必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.238