異所性縦隔内甲状腺腫の一切除例

症例は40歳代女性.主訴は特になく,レントゲン写真で気管の右方偏位を指摘された.CTで胸骨切痕部から大動脈弓部の高さにかけて,前縦隔に長径4.9 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は内部に小石灰化を伴い辺縁整,境界明瞭であり,内部densityは甲状腺と同様であったが,甲状腺とは明らかな連続性を認めなかった.異所性縦隔内甲状腺腫を疑い手術の方針となった.手術は,頸部襟状切開のみでは腫瘤摘出が困難であり,部分的胸骨正中切開を加え,摘出術を施行した.術中所見でも甲状腺との連続性は確認されず,被包化された境界明瞭な腫瘤であった.病理学的には腺腫様甲状腺腫であり,異所性縦隔甲状腺腫と診断した.異所性縦隔甲状腺腫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 534 - 538
Main Authors 齋藤, 芳太郎, 鈴木, 洋平, 黒川, 博一, 守田, 亮, 榎本, 克彦, 河合, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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Summary:症例は40歳代女性.主訴は特になく,レントゲン写真で気管の右方偏位を指摘された.CTで胸骨切痕部から大動脈弓部の高さにかけて,前縦隔に長径4.9 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は内部に小石灰化を伴い辺縁整,境界明瞭であり,内部densityは甲状腺と同様であったが,甲状腺とは明らかな連続性を認めなかった.異所性縦隔内甲状腺腫を疑い手術の方針となった.手術は,頸部襟状切開のみでは腫瘤摘出が困難であり,部分的胸骨正中切開を加え,摘出術を施行した.術中所見でも甲状腺との連続性は確認されず,被包化された境界明瞭な腫瘤であった.病理学的には腺腫様甲状腺腫であり,異所性縦隔甲状腺腫と診断した.異所性縦隔甲状腺腫は稀な疾患であり,様々な手術手技の報告があるが,腫瘍の位置,大きさにより適切なアプローチが必要と考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.534