コントロール困難な肝性胸水を伴う横隔膜交通症に対し気腹により瘻孔を同定,閉鎖した2例

今回われわれはコントロール困難な肝性胸水を伴う横隔膜交通症に対し,気腹による横隔膜の瘻孔を同定,閉鎖した2例を経験したので報告する.症例は44歳男性と79歳男性で,両者ともに肝硬変に伴うコントロール困難な右大量胸水の精査の結果,横隔膜交通症と診断し,手術を施行した.2症例とも気腹による瘻孔の同定を行った.まず,患者を左半側臥位とし,臍下部に気腹用のポートを留置し,胸部にも3ヵ所ポートを留置した.2症例とも胸腔鏡下に横隔膜を観察するも瘻孔は確認できなかったため,胸腔内を生理食塩水で満たし,気腹を開始したところ,気腹と同時に横隔膜腱中心付近より気漏を認めた.自動縫合器を用いて横隔膜を切除し,切除断...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 177 - 182
Main Authors 神保, 充孝, 郷良, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.177

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Summary:今回われわれはコントロール困難な肝性胸水を伴う横隔膜交通症に対し,気腹による横隔膜の瘻孔を同定,閉鎖した2例を経験したので報告する.症例は44歳男性と79歳男性で,両者ともに肝硬変に伴うコントロール困難な右大量胸水の精査の結果,横隔膜交通症と診断し,手術を施行した.2症例とも気腹による瘻孔の同定を行った.まず,患者を左半側臥位とし,臍下部に気腹用のポートを留置し,胸部にも3ヵ所ポートを留置した.2症例とも胸腔鏡下に横隔膜を観察するも瘻孔は確認できなかったため,胸腔内を生理食塩水で満たし,気腹を開始したところ,気腹と同時に横隔膜腱中心付近より気漏を認めた.自動縫合器を用いて横隔膜を切除し,切除断端をPGAシートとフィブリン糊で被覆した.2症例とも術後経過は良好であった.術中気腹は,容易に横隔膜病変の同定が可能であり,非常に有用な方法であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.177