拡張型心筋症を合併した経鼻的下垂体腫瘍摘出術の管理に肺動脈カテーテルの必要性を検討した1症例

拡張型心筋症を合併した末端肥大症患者に対する, 経鼻的下垂体腫瘍摘出術の麻酔管理を経験した. 患者は57歳, 女性. 心エコーで収縮拡張障害を認めたが, 日常生活はNYHA I 度であった. 循環器内科からは周術期, 肺動脈カテーテルによる循環管理を行うよう指示があった. しかし, 本手術は出血量も少なく細胞外液量の変動が小さいことから, 肺動脈カテーテルの適応はないと考えて挿入しなかった. 代わりに術中は, 中心静脈圧とインピーダンス法による心拍出量測定で麻酔管理を行い, 術後を含めて大きな問題は生じなかった. 心機能が保たれている拡張型心筋症合併末端肥大症の経鼻的下垂体腫瘍摘出術においては...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 28; no. 2; pp. 330 - 333
Main Authors 西池, 聡, 白石, 美治, 唐澤, 紀幸, 関, 純彦, 土田, 英昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2008
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Summary:拡張型心筋症を合併した末端肥大症患者に対する, 経鼻的下垂体腫瘍摘出術の麻酔管理を経験した. 患者は57歳, 女性. 心エコーで収縮拡張障害を認めたが, 日常生活はNYHA I 度であった. 循環器内科からは周術期, 肺動脈カテーテルによる循環管理を行うよう指示があった. しかし, 本手術は出血量も少なく細胞外液量の変動が小さいことから, 肺動脈カテーテルの適応はないと考えて挿入しなかった. 代わりに術中は, 中心静脈圧とインピーダンス法による心拍出量測定で麻酔管理を行い, 術後を含めて大きな問題は生じなかった. 心機能が保たれている拡張型心筋症合併末端肥大症の経鼻的下垂体腫瘍摘出術においては, 周術期に細やかな循環管理が必要であるが, 肺動脈カテーテルの適応ではないと考える.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.28.330