転移性縦隔リンパ節癌術後9年目に発症した原発性肺癌の1例

症例は63歳男性.1997年よりCEA高値を指摘.2002年4月に初めて胸部CTで右上縦隔リンパ節腫大を認めた.縦隔鏡下生検でmetastatic carcinomaと診断されたが原発巣は不明のまま,同年7月に胸腔鏡下右上縦隔リンパ節郭清を施行した.CEA値は術後急速に低下し,その後9年近く正常値を維持していたが,2011年4月にCEA値の再上昇とともに,CTで右上葉気管支B1起始部の気管支壁肥厚を認めた.同部位の気管支鏡下擦過細胞診でclass Vの診断を得たため,2011年9月に右上葉切除術を施行した.術後病理はLarge cell carcinomaの診断で,縦隔リンパ節組織像と酷似して...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 220 - 225
Main Authors 永田, 旭, 居石, 克夫, 樋口, 隆男, 古賀, 孝臣, 岡林, 寛, 濱田, 利徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.220

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Summary:症例は63歳男性.1997年よりCEA高値を指摘.2002年4月に初めて胸部CTで右上縦隔リンパ節腫大を認めた.縦隔鏡下生検でmetastatic carcinomaと診断されたが原発巣は不明のまま,同年7月に胸腔鏡下右上縦隔リンパ節郭清を施行した.CEA値は術後急速に低下し,その後9年近く正常値を維持していたが,2011年4月にCEA値の再上昇とともに,CTで右上葉気管支B1起始部の気管支壁肥厚を認めた.同部位の気管支鏡下擦過細胞診でclass Vの診断を得たため,2011年9月に右上葉切除術を施行した.術後病理はLarge cell carcinomaの診断で,縦隔リンパ節組織像と酷似していた.肺切除後には再びCEA値は正常化し,術後3年近く経過するが無再発生存中である.原発不明縦隔リンパ節癌に対する治療方針として,積極的に病巣を含めたリンパ節郭清を行い,それ以降長期にわたる経過観察を行うことで,良好な予後につながる可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.220