アルドース還元酵素阻害薬エパルレスタットによる薬物性肝障害の1例
症例は60歳代の女性.平成21年2月頃から口渇・多飲・全身倦怠感が出現し,約3カ月で5 kgの体重減少を認めた.同年5月に空腹時血糖291 mg/dl ,HbA1c 12.6%と異常を認め,糖尿病および末梢神経障害の診断にてインスリン治療およびエパルレスタット150 mg/日と高コレステロール血症に対してロスバスタチンが開始された.7月中旬にAST 246 IU/L,ALT 375 IU/Lと肝機能障害を認めたため被疑薬を中止したが,肝機能障害が悪化し当科入院となった.8月中旬に総ビリルビン2.1 mg/dl ,ALT 1166 IU/Lまで上昇した.肝生検では小葉内にspotty necro...
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Published in | 肝臓 Vol. 52; no. 6; pp. 351 - 355 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2011
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.52.351 |
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Summary: | 症例は60歳代の女性.平成21年2月頃から口渇・多飲・全身倦怠感が出現し,約3カ月で5 kgの体重減少を認めた.同年5月に空腹時血糖291 mg/dl ,HbA1c 12.6%と異常を認め,糖尿病および末梢神経障害の診断にてインスリン治療およびエパルレスタット150 mg/日と高コレステロール血症に対してロスバスタチンが開始された.7月中旬にAST 246 IU/L,ALT 375 IU/Lと肝機能障害を認めたため被疑薬を中止したが,肝機能障害が悪化し当科入院となった.8月中旬に総ビリルビン2.1 mg/dl ,ALT 1166 IU/Lまで上昇した.肝生検では小葉内にspotty necrosisを散見し,門脈域にはリンパ球を主体に炎症細胞浸潤を認めた.DLSTにてエパルレスタットのみが陽性であった.その後肝機能障害は改善し9月中旬にはほぼ正常となった.エパルレスタットはアルドース還元酵素阻害薬であり,糖尿病性末梢神経障害治療薬として広く用いられている.本症例はエパルレスタットでDLSTが陽性であり本剤による薬物性肝障害と診断した. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.52.351 |