大腸癌肝転移に対する集学的治療―新たなエビデンスの創出をめざして
目的:第71回本学会総会 パネルディスカッション4『大腸癌肝転移に対する集学的治療―新たなエビデンスの創出をめざして』の討論結果の共有を目的とした.方法:五つのポイントについてアンサーパッドを交えて討論を行った.結果:1.5個以上同時性肝転移に対して,手術先行が77%を占めたが肝切除先行は10%弱であった.広範囲肝切除+直腸切除症例においてはほとんどが分割手術を選択し,interval chemotherapyを行う施設が2/3以上であった.2.切除可能肝単独転移の治療方針を検討した.再発低頻度予測例では肝切除単独69%,肝切除+術後化学療法31%が選択され,再発高頻度予測例では90%以上の症...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 7; pp. 390 - 403 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.07.2019
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2019.fa001 |
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Summary: | 目的:第71回本学会総会 パネルディスカッション4『大腸癌肝転移に対する集学的治療―新たなエビデンスの創出をめざして』の討論結果の共有を目的とした.方法:五つのポイントについてアンサーパッドを交えて討論を行った.結果:1.5個以上同時性肝転移に対して,手術先行が77%を占めたが肝切除先行は10%弱であった.広範囲肝切除+直腸切除症例においてはほとんどが分割手術を選択し,interval chemotherapyを行う施設が2/3以上であった.2.切除可能肝単独転移の治療方針を検討した.再発低頻度予測例では肝切除単独69%,肝切除+術後化学療法31%が選択され,再発高頻度予測例では90%以上の症例で肝切除+周術期化学療法が行われた.3.RASは77%で,BRAFは9%で測定された.Conversion therapyでは,oxaliplatinベースの化学療法+分子標的薬が頻用されたが,FOLFOXIRI±bevacizumabが期待されていた.その治療効果判定には,RECIST基準に加えてearly tumor shrinkageやdeepness of responseが活用されていた.4.腫瘍学的進行例で単回肝切除が困難な症例には化学療法が79%で先行され,門脈塞栓術後の肝切除と二段階肝切除がほぼ同数に選択され,associating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy(ALPPS)の選択は1%であった.5.新しい臨床試験として,切除可能例に対するFOLFOX+LV/UFTによる補助療法,RASのstatusを考慮した補助療法,再発高危険群を対象とした組織学的効果を考慮した試験が,切除不能同時性肝転移に対する肝切除先行と大腸切除先行アプローチの比較試験が,提案された.結語:大腸癌肝転移の集学的治療の現状をまとめた.本領域のさらなる発展には臨床試験により,確固たるエビデンスを創ることが重要である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2019.fa001 |