赤痢菌型別検査方法としてのAmplified Fragment Length Polymorphism (AFLP) 法の有用性の検討

分子疫学的解析法の一つであるamplified fragment length polymorphism (AFLP) 法が, 赤痢菌に対する型別方法として有用であるか否かを検討した. 赤痢菌51株を, AFLP法とコリシン型別法およびパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE法) の3法で型別し, 「型別能力」, 「再現性」, 「識別能力」, 「解釈の容易さ」および「実行の容易さ」の5項目について比較を行った. その結果AFLP法は, 型別能力が100%, 識別能力がSimpson's Indexにて1.000と優れている反面, 結果の解釈の容易さ, 実行の容易さ, さらに再現性が...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 80; no. 5; pp. 513 - 521
Main Authors 濱崎, 光宏, 村上, 光一, 宮原, 美知子, 野田, 多美枝, 石黒, 靖尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.09.2006
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.80.513

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Summary:分子疫学的解析法の一つであるamplified fragment length polymorphism (AFLP) 法が, 赤痢菌に対する型別方法として有用であるか否かを検討した. 赤痢菌51株を, AFLP法とコリシン型別法およびパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE法) の3法で型別し, 「型別能力」, 「再現性」, 「識別能力」, 「解釈の容易さ」および「実行の容易さ」の5項目について比較を行った. その結果AFLP法は, 型別能力が100%, 識別能力がSimpson's Indexにて1.000と優れている反面, 結果の解釈の容易さ, 実行の容易さ, さらに再現性が劣っていることが明らかになった.このうち再現性は, ATCC株3株について3回繰り返して全工程を実施し, 結果を比較したところ, AFLP法は株によりDice係数を用いた相似値で81.9%から90.5%であり, PFGE法の92.3%から100%に比べ劣っていた. しかし, 再現性が若干劣っていても系統樹を作成してクラスター解析を行うには問題はないと考えられた. これらのことから, AFLP法は再現性が若干低いため, 赤痢菌に対しては, クラスター解析の手法としては有用であるが, 単独で感染源および感染経路特定のための型別方法として用いるのは困難であると結論付けられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.80.513