エンドトキシン誘発の全身性炎症に対して1日齢マウスの脳が行う初期の免疫応答

早産児に全身性炎症が生じると神経学的後遺症が発症するが,全身性炎症が脳に炎症環境をもたらす仕組みには謎が多い。ここでは新生仔マウスにEscherichia coli O55 : B5由来のエンドトキシンであるlipopolysaccharide (LPS)を腹腔内投与し,頭蓋内のどの部位のマクロファージ(Mϕ)/ミクログリアがinterleukin (IL)-1βを産生するかを明らかにした。1日齢マウスにLPSもしくは生理食塩水を腹腔内投与し,1または4時間後に頭部を固定し凍結切片を作製した。F4/80をMϕ/ミクログリアの,IL-1βを炎症応答のマーカーとして二重免疫蛍光染色を行い,脈絡叢,...

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Published in杏林医学会雑誌 Vol. 55; no. 2; pp. 49 - 57
Main Authors 島田, 厚良, 小原, 映, 摂津, 黎, 樽井, 武彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 02.07.2024
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.55.49

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Summary:早産児に全身性炎症が生じると神経学的後遺症が発症するが,全身性炎症が脳に炎症環境をもたらす仕組みには謎が多い。ここでは新生仔マウスにEscherichia coli O55 : B5由来のエンドトキシンであるlipopolysaccharide (LPS)を腹腔内投与し,頭蓋内のどの部位のマクロファージ(Mϕ)/ミクログリアがinterleukin (IL)-1βを産生するかを明らかにした。1日齢マウスにLPSもしくは生理食塩水を腹腔内投与し,1または4時間後に頭部を固定し凍結切片を作製した。F4/80をMϕ/ミクログリアの,IL-1βを炎症応答のマーカーとして二重免疫蛍光染色を行い,脈絡叢,頭部間葉,脳実質にてF4/80陽性細胞のIL-1β陽性率を求めた。IL-1β陽性率はLPS投与4時間後の脈絡叢で64.3%,頭部間葉で6.5%と上昇し,脳実質では上昇しなかった。従って,1日齢マウスでは全身性炎症に応答して脈絡叢・頭部間葉のMϕが免疫反応を開始すること,脳実質のミクログリアは初期応答を行わないことが分かった。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.55.49