ヒト免疫グロブリン製剤の実験的マウス百日咳菌噴霧感染症に対する感染防御効果

製法の異なる3種類の静注用ヒト免疫グロブリン製剤 (インタクト;GG, スルポ化;GGS, 及びペプシン処理;GGP) を用いて, マウス百日咳菌噴霧感染実験における感染防御効果及び百日咳毒素 (Pertussistoxin;PT) に対する中和効果を比較し, 以下の結果を得た. 1) 同一ヒトプール血漿由来のGG, GGS, GGPの感染防御効果を白血球増多症の抑制, 体重増加の度合, 及び生存率を指標にして検討した. GG及びGGSはこれら全ての指標において感染防御に有効であった. しかしGGPの効果はほとんど認められなかった. 2) GG, GGS, 及びGGP中の百日咳菌凝集抗体価,...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 518 - 524
Main Authors 今泉, 厚, 鈴木, 洋二, 佐藤, 勇治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.06.1984
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.518

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Summary:製法の異なる3種類の静注用ヒト免疫グロブリン製剤 (インタクト;GG, スルポ化;GGS, 及びペプシン処理;GGP) を用いて, マウス百日咳菌噴霧感染実験における感染防御効果及び百日咳毒素 (Pertussistoxin;PT) に対する中和効果を比較し, 以下の結果を得た. 1) 同一ヒトプール血漿由来のGG, GGS, GGPの感染防御効果を白血球増多症の抑制, 体重増加の度合, 及び生存率を指標にして検討した. GG及びGGSはこれら全ての指標において感染防御に有効であった. しかしGGPの効果はほとんど認められなかった. 2) GG, GGS, 及びGGP中の百日咳菌凝集抗体価, 抗F-HA (Filamentous hemagglutinin) 価及び抗PT価を調べた結果, いずれの免疫グロブリン製剤においても, ほぼ同程度にその存在が確認されたが, PT中和能はGG及びGGSには認められたがGGPには認められなかった. 3) PTで高度に免疫したウサギ血清より得られたGG及びGGPを用いた場合でも, GGは感染を防御し得たが, GGPにはその効果が認められなかった. これらの結果は実験的百日咳菌感染症に対して, 静注角ヒト免疫グロブリンが有効であったこと, 及びその防御効果の発現には免疫グロブリンのFc部分を保有していることが必須であることを示唆した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.518